災害医療で行われる3つのTがあります。Triage(選別)、Transportation(搬送)、Treatment(治療) です。実は日本で災害医療を行える常設の組織は、自衛隊と日本赤十字社の2組織のみと言われています。この組織以外には、現役の医療従事者が災害医療に関する訓練を受けたものがDMAT(災害派遣医療チーム)としてチーム制で被災地外から派遣されます。緊急医療で3つのTは使われる事がありますが、災害医療と緊急医療のTriageは異なります。災害医療は発災してから約1時間で急激に負傷者が増えます。災害医療の初期段階は、いかに限られた医療品の中で最大人数を救えるかの戦いです。そのため災害医療時のTriageは被災者の状況の確認と同時に、いかにして搬送確保するかも考えなくてはなりません。臨機応変に動ける能力と、ないものをあるもので作り出す創造性が問われます。
もう一つのTransportation(搬送)も災害医療では非常に重要です。阪神淡路大震災では、Transportationのシステムがうまく作動できず最寄りの中小規模の病院に1000人以上の被災者が殺到しました。結果的に、医療品不足による基礎疾患患者がなくなるなどの被害が起こりました。
最後のTreatment(治療)は段階的にシステムが構築されています。初期医療と急性期医療が最も迅速に行う必要があります。初災開始時間から72時間以内に治療をうけないと悪化してしまうケースがほとんどだからです。